こんにちは。
薬剤師さぁやです。
今回は、多くの女性が抱えているにも関わらず、見逃されがちな「血虚(けっきょ)」についてお話します。
「貧血じゃないのに疲れやすい」
「最近、不安感が強くて眠れない」
「肌の調子がずっと悪い…」
そんなお悩みがある方、もしかするとそれは「血虚」が関係しているかもしれません。
「血虚」を克服すれば女性は強くなれる!という想いを込めて、ブログを書いていこうと思います。
血虚とは? ― 漢方で考える“血の不足”
西洋医学では「貧血=ヘモグロビン」で判断されますが、
漢方では、もっと広く「血(けつ)」の量や質の不足を「血虚」と呼びます。
特に、生理がある女性は毎月のように血液を失っているため、血液検査で貧血の診断がなくても、ほとんどの方が血虚の傾向にあるといっても過言ではありません。
血虚のサイン、あなたはいくつ当てはまりますか?
- 不安感が強くなった
- 眠りが浅く、夢ばかり見る
- 生理の量が少ない、色が薄い
- 爪が割れやすい
- 髪にツヤがない
- 顔色が青白い・くすんでいる
- めまいや立ちくらみがある
これらはすべて、血が不足している体からのサインです。
西洋医学的にも、血液は細胞に栄養や酸素を運ぶ大切な役割を果たしていると言われています。
このため、血が不足すると健やかな細胞が作られなくなり、細胞の集合体である臓器としての機能も低下していってしまいます。
病院での貧血治療は基本的に鉄剤の投与となります。ただし、病院で出る鉄剤はヘム鉄ではなく無機鉄なので胃もたれなどで飲めない方も少なくないのが現状です。しかし、鉄が不足していない方でも東洋医学的には血虚の方も多くいるため、鉄剤の補給だけでは血虚は改善できない場合があります。(私がまさにこのパターンでした。)
さらに、腎性貧血といい腎機能低下で起こる貧血もあり、疲れやすい・動悸・息切れ・めまいが慢性的に起こり体が酸素不足に陥ってしまう病態もあります。これはかなりリスキーな状態で、心腎貧血症候群といい心臓や腎臓に負担がかかりさらに腎機能が低下するという負のスパイラルが起こるため、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬により赤血球を産生したり、「腎」に関する漢方で積極的にケアをしていく必要があります。
参考文献(日経メディカル:https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/5fe01cdc7aa7d04c5b919e8b.html)
心にも影響が出る「心血虚」― 不安や不眠の原因に
血は、身体だけでなく「心」にも深く関係しています。
特に心の血が不足する「心血虚(しんけっきょ)」では、
- 不眠
- 不安感
- パニック発作
- 落ち込みやすい
- 動機がする
といったことがよく起こります。ここで多くの方は、不安になりやすいことをご自分の性格のせいにして、「自分はなんて弱いんだ!」と思ってしまいます。しかし、本当に性格のせいだけでしょうか?
物事の捉え方ももちろん重要ですが、体が不安を感じやすい状態になっているということをまず理解しなければなりません。不安やパニックが強い時は西洋医学のお薬に頼るのも一つの手だと私は思います。もちろんそれと同時に、しっかり漢方や栄養療法で根本回復をしていくことは必要です。(パニック障害についての記事はコチラ)
美容の大敵「血虚」― 本当の“内側からのケア”とは?
「どれだけ高い化粧品を使っても肌荒れや乾燥肌が治らない…」
そんなときは、皮膚の細胞に送られる血液が不足しているサインかもしれません。
さきほども言いましたように、皮膚の細胞も血から栄養をもらっています。
血の量が少ないと、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)もスムーズにいきません。
本当の意味での「内側からの美容」は、“血を増やすこと”から始まります。
もちろん、血虚対策だけでなく他の体質要因、腸内環境、栄養(たんぱく質/ビタミンB群/ビタミンC/亜鉛/食物繊維など)も健やかな肌を育てていくためには考慮していく必要があります。
血虚を改善する食材・栄養療法
血を作るには、単に漢方薬に頼るだけでは不十分なこともあります。血液は、日々の食事から摂取した栄養素から作られるものだからです。たとえば、毎日インスタント食品や偏った食事ばかりでは、どんなに良い漢方を飲んでも効果が出るとは思えません。
血を補うために、漢方的には以下のような食材がおすすめです
- にんじん
- ほうれん草
- 小松菜
- 落花生
- レバー(特に鶏レバー・豚レバー)
- イカやタコなどの魚介類
これらは薬膳の観点でも「補血(ほけつ)」作用があるとされる食材です。毎日の食事に少しずつ、バランスよく取り入れていくことが大切です。
また、西洋医学的に貧血を改善するには以下のような栄養素がおすすめです
- ヘム鉄(ヘム鉄は無機鉄の5倍吸収がよい)
- ビタミンC、タンパク質(一緒にとることで鉄の吸収UP)
- ビタミンB12、葉酸(造血作用)
ただし、「これさえ食べればOK!」というものではなく、さまざまな食材をまんべんなく摂ることが、体にとっての“安心材料”になります。
血虚になる要因
胃腸が弱っている方の場合、せっかくの栄養素も十分に吸収できないことがあります。そういった場合には、まず胃腸の働きを整えるところから始めることが大切です。
治療は一段一段、階段をのぼるように、焦らずに進めていきましょう。
また、「悩みすぎ」も血を消耗します
実は、精神的なストレスや思い悩むことも、体内の「血(けつ)」を消耗するといわれています。
悩む → 血を消耗する&胃腸も弱る →血虚がさらに進む→ もっと悩みやすくなる・・
この悪循環が続くと、うつ状態や心の不調にもつながってしまいます。
最後に ― 血を養うことで、心も体も“へこたれない”自分に
上記に挙げた以外に、血虚は「コロコロ便秘」「イライラしやすい」「手足のしびれやつり」「生理痛」の原因にもなり、様々な不調を呼び起こします。
逆を言えば、血を補うことで心が安定し、肌にハリが戻り、疲れにくくなります。
小さなことにくよくよしなくなり、心が折れにくくなります。
栄養や漢方の力を使って、自分の中に「しっかりとした血」を満たしてあげましょう。
ご自身では気づきにくい「血虚」。
少しでも心当たりがある方は、お気軽にご相談くださいね。
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